文書の過去の版を表示しています。
逆行列
定義
正方行列$A$ $A=\begin{bmatrix}
a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}
a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}
\vdots&\vdots&\ddots&\vdots
a_{n1}&a_{n2}&\cdots&a_{nn}
\end{bmatrix}$に対して、
$$XA=I
$$
を満たすような正方行列$X$が存在するとき、$X$を$A$の逆行列とよび、$$X=A^{-1}$$と書く。
$$ A=\begin{bmatrix} a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}\\ a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}\\ \vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\ a_{n1}&a_{n2}&\cdots&a_{nn} \end{bmatrix} $$
行列の基本変形
行基本変形
- ある行を何倍かする(0倍以外)
- ある行の何倍かを他の行に加える
- ある行と別の行を交換する
→ 基本行列を左から掛ける
列基本変形
- ある列を何倍かする(0倍以外)
- ある列の何倍かを他の列に加える
- ある列と別の列を交換する
→ 基本行列を右から掛ける
逆行列の存在
CASE A
- 適当な行基本変形により単位行列に変形できる。$\Leftrightarrow\mathrm{rank}A=n$
$$ \begin{bmatrix} a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}\\ a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}\\ \vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\ a_{n1}&a_{n2}&\cdots&a_{nn} \end{bmatrix} \Rightarrow \begin{bmatrix} 1&0&\cdots&0\\ 0&1&\cdots&0\\ \vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\ 0&0&\cdots&1 \end{bmatrix} $$
- 用いた行基本変形に対応する適当な基本行列を$R_1$, $R_2$, $\cdots$, $R_M$とすると
$$ R_M R_{M-1}\cdots R_2 R_1 A = I\Rightarrow A^{-1}= R_M R_{M-1}\cdots R_2 R_1 $$
CASE B
- 適当な行基本変形により単位行列に変形できない。$\Leftrightarrow\mathrm{rank}A<n$
$$ \begin{bmatrix} a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}\\ a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}\\ \vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\ a_{n1}&a_{n2}&\cdots&a_{nn} \end{bmatrix} \Rightarrow \begin{bmatrix} 1&\ast&\cdots&\ast\\ 0&1&\cdots&\ast\\ \vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\ 0&0&\cdots&0 \end{bmatrix} $$
- 逆行列は存在しない(のではないだろうか)