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ルー・大柴になったつもりで

学部ゼミ生のための英文解釈講座

ルー・大柴になったつもりで

こんな文章を考えてみましょう。

This information is all contained in the Hamiltonian which is the central quantity for any theoretical treatment.

辞書を引かなくても、構文分解はできるはずです。重要なことは修飾関係を正しく理解することです。たとえば、

     主語        受動態                  先行詞      関係代名詞
This information is all contained in the Hamiltonian which is the central quantity for any theoretical treatment.
                 〜される         〜の中に                                         〜に対して

ぐらいは辞書をひかなくてもわかるでしょ?そこで、こいつを

This information は any theoretical treatment に対して central quantity である Hamiltonian の中に all contained in されるぜ、ベイビー

といくわけです。これをうちではルー・大柴方式と読んでいます。

この場合には、allとかanyとかニュアンスをつけている言葉の方を先に訳出していきます。

この information は<fc #ff0000>どんな</fc> theoretical treatment に対して<fc #ff0000>も</fc> central quantity である Hamiltonian の中に<fc #ff0000>全て</fc> contain される

急いでいるときは、これで予習は終わりです。(おいおい、ほんまにここで終わるなよ。)

じゃあ後は時間の許す限り、順番に辞書をひきましょうね。

動詞

まづは動詞をひきますか。

contain/kəntéin/

動 詞•他動詞

  1. …を(容器場所の中に)含む, 収容できる, …を(内容構成分として)含有する, …がはいっている(▼受身不可);⦅通例受身⦆⦅形式的⦆〈場所を〉取り囲む

というわけで、「contain される」=「含まれる」ですね。そうすると

この information はどんな theoretical treatment に対しても central quantity である Hamiltonian の中に全て<fc #ff0000>含まれる</fc>

形容詞

次ぎ、形容詞いってみましょうか。

theoretical/θìːərétikəl | θìə-/, -ic/-ik/

形容詞

  1. ⦅通例限定⦆理論の[に関する];理論上の(⇔applied)theoretical linguistics|理論言語学.
  2. 〈人が〉理論好きな, 理論を考え出す[扱う];思索的な.
  3. 架空の, 仮定的な(⇔practical).

central/séntrəl/

形容詞⦅主に限定⦆

  1. ⦅比較形なし⦆中心[中央]の, 中心をなす;中心[中央]にある, 中心部の, 真ん中の;⦅叙述⦆(市街地にあって)便利のよい, (…へ行くのに)地の利がよい⦅for …⦆
    in the central part of the city|市の中心部に
    My house is very central.|私の家はたいへん地の利のよいところにある.
  2. (業務事柄などの)中心となる, より所となる;主要な, 主流をなす, 支配的な;(…にとって)中心的な, 中核的な⦅to …⦆
    the central office|本部, 本局
    the central figure|中心人物
    the central theme in [of] a play|劇の主要テーマ
    be of central importance|中心的な重要性をもつ.

さあどの訳語を選びましょうか。その前にこの二つの形容詞は

形容詞 名詞 名詞の意味
theoretical theory 理論
central centre1) 中心

のように、どちらも単純な意味を持った名詞から派生した形容詞です。日本語にはこういうときにとっても便利な言葉があるじゃあないですか。つまり私的にはこれらを

形容詞 名詞 名詞の意味 形容詞的意味
theoretical theory 理論 理論的、理論的な
central centre 中心 中心的、中心的な

みないな感じ?でいきたいわけです。いきます。

この information はどんな<fc #ff0000>理論的</fc> treatment に対しても<fc #ff0000>中心的な</fc> quantity である Hamiltonian の中に全て含まれる

theoreticalのほうは「どんな」っていう「な」で終わる言葉が既についているので「な」無しに、centralのほうはこの修飾語しかつかないので「な」をつけて「的な」にしてみました。

名詞

さあいよいよ名詞です。このルー大柴流は最後まで名詞は外来語扱いで、っていうのがこつっちゃあこつかな。

information/ìnfərméiʃən/

名 詞(▼4以外では無冠詞単数形. 集合的に用いる)U

  1. (…に関する)情報, 報道, 消息, 聞き込み資料, ニュース⦅about, on, as to …⦆

これは問題なく「情報」でいいでしょう。

treatment/tríːtmənt/

名 詞•U•C

  1. (事物の)取り扱い(方);(人動物の)扱い, 待遇
    special [preferential] treatment|特別待遇
    kind [rough] treatment|親切な[手荒い]扱い
    give a person the silent treatment|⦅俗語⦆人を無視[黙殺]する
    give a person the full treatment|⦅英略式⦆人を手厚くもてなす;これ以上ないひどい扱いをする.
  2. (…の)治療(法), 処置, 手当て⦅for …⦆;(化学薬品による)処理
    heat treatment|熱処理
    be under medical treatment|療養中である
    give a person (an) immediate treatment for …|…の応急手当てを人に施す
    receive [get, undergo] medical treatment|治療を受ける.
  3. (様式手法からみた文学芸術などの)扱い方, 論述法.

結構これは難しい。「理論的取り扱い」「理論的扱い」「理論的処置」「理論的処理」「理論的記述法」どれも何となく有りそで無さそで。こうゆうときには日頃の読書量がものを言います。私にとっては「理論的取り扱い」しかあり得ないんですが、意味としては上に並べてみたような日本語(もどき)が意味するんじゃないかなあと皆さんが考えるような概念が、その意味です。

quantity/kwάntəti | kwɔ́n-/

名 詞(複-ties)

  1. U•C量, 数量, 分量, 額, 高(amount);定量. ⇒QUALITY名 詞2
    a small [a large] quantity of water|少量[大量]の水
    a quantity of food|多少の食料
    the sheer quantity of data|膨大なデータ量
    aim at quality rather than quantity|量よりも質をめざす
    Use equal quantities of vinegar and oil in the salad dressing.|サラダドレッシングには酢と油を同量ずつ使います.
  2. ⦅しばしば-ties⦆多量, 多数
    an unbelievable quantity of oil|信じられないほど多量の石油
    in quantity [=in (large) quantities]|多量に, たくさん.
  3. U〘音楽〙音価;〘韻律学音声学〙音量.
  4. 〘数学〙量, 数量
    a known quantity|既知量[数]
    an unknown quantity|未知量[数];⦅比喩⦆未知数の人[物].
    1. 〘論理学〙量\\extensive [intensive] quantity|外延[内包]量.
    2. 〘哲学〙分量, 量.
  5. U〘法律〙(不動産権の)存続期間.

これは難しい。正真正銘難しい。訳語としては最初の「量」でいいんですが。このquantityという概念、 これこそが、大学で科学や工学を学んだ後に習得していて欲しい概念なんですね。quantityとquality, quantityとvalue.これらの概念を自在に使いこなせるようになってください。卒業研究の考察(討論)を書く前に。

Hamiltonian |ˈham(ə)lˈtəʊnɪən|

adjective

  1. Physics & Mathematics of, relating to, or invented by the mathematician Sir W. R. Hamilton, esp. denoting concepts employed in the wave-mechanical description of particles.
  2. of or relating to the American statesman Alexander Hamilton or his doctrines.

noun

  1. (also hamiltonian) Physics & Mathematics a Hamiltonian operator or function.
  2. a follower or adherent of Alexander Hamilton or his doctrines.

DERIVATIVES

  • Hamiltonianism |-izəm| noun (in sense 2) .

ハミルトニアン【Hamiltonian】

  1. 〔数〕(ハミルトンの名に因む) 一つの物理系の構造・性質を表現する数学的表式。物理的には、系の全エネルギーを意味する。ハミルトン関数。ハミルトン演算子。

これは普通の辞書には載っていません。上はLeopard付属のNew Oxford American Dictionaryの結果です。下は広辞苑ですね。何にせよ量子力学に出てくるあのハミルトニアンです。みんな好きでしょ?私は大好きです。 というわけで、

この<fc #ff0000>情報</fc>はどんな理論的<fc #ff0000>取り扱い</fc>に対しても中心的な<fc #ff0000>量</fc>である<fc #ff0000>ハミルトニアン</fc>の中に全て含まれる

まだこれで完成じゃないで。

でも、今日のところはこのへんで。

1)
おっさん綴り間違うてるでって?ぼけ、これが正しい綴りじゃ。
ルー・大柴になったつもりで.txt · 最終更新: 2022/08/23 13:34 by 127.0.0.1

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