seminar:計算の種類
計算の種類
卒業研究では、Dacapoを用いて
- 全エネルギー計算
- 構造最適化計算
- バンド構造計算
の三種類の第一原理計算を行います。
全エネルギー計算
原子の座標を入力し、系の電子(価電子)の全エネルギーを計算します。原子に働く力の計算は行いますが、力を計算するだけで原子を動かすことはしません。一点計算とも呼びます。この計算により、
- 全エネルギーの数値計算
- 状態密度のプロット(グラフ化)
- 局在した電子の波動関数の画像化
- 原子に働いている力を基にした定性的な議論
をすることができます。
構造最適化計算
入力した原子の座標を初期位置として、原子に働く力の計算を行い、力の方向に自動的に原子を動かします。原子は単に力が小さくなる方向に(断熱ポテンシャルの極小に向けて)動かされるだけで、運動方程式を解いた場合のような正しい力学的運動を計算しているわけではありませんが、最安定もしくは准安定な構造に緩和していく様子を表すようなおおよその運動を計算することができます、また、どの原子を自動的に動かして、どの原子を自動的には動かさないかを指定することもできます。実際の計算では、原子の数が多いのでむしろ自動的に動かす、すなわち構造最適化する原子を限定するのが一般的です、この計算は構造最適化とか構造緩和、もしくは第一原理分子動力学計算とも呼ばれます。この計算により、
- 安定構造の決定
- 構造緩和の動画(アニメーション)作成
- とある自由度だけを独立変数にとったときの有効ハミルトニアンの導出
をすることができます。
バンド構造計算
原子を入れて周期的に並べる箱を、そのまま結晶の単位格子(単純単位格子でなくてもよいことに注意)にとると、方程式を解く際の境界条件は仮想的に非常に大きな繰り返しの単位を考えて、その周期での周期境界条件を適用したと考えます。この場合にはフーリエ展開の波数はほとんど連続に取らなければならなくなりますが、計算機では連続と言えるほど多くのK-点を取ることはできません。
seminar/計算の種類.txt · 最終更新: 2022/08/23 13:34 by 127.0.0.1