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seminar:al結晶

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seminar:al結晶 [2021/06/21 14:55] – [状態密度] kimiseminar:al結晶 [2022/08/23 13:34] (現在) – 外部編集 127.0.0.1
行 3: 行 3:
  
 アルミニウム結晶は面心立方格子であり、その格子常数(上記のような立方体の単位格子をとったときの一辺)は0.40496nm(4.0496Å)である。[[原子間距離と面間距離|原子間距離や面間隔]]を確認せよ。 アルミニウム結晶は面心立方格子であり、その格子常数(上記のような立方体の単位格子をとったときの一辺)は0.40496nm(4.0496Å)である。[[原子間距離と面間距離|原子間距離や面間隔]]を確認せよ。
-===== 実習1 =====+====== 実習1 ======
   * アルミニウム結晶の電子状態を計算するためのpythonスクリプトを作成し計算を実行せよ   * アルミニウム結晶の電子状態を計算するためのpythonスクリプトを作成し計算を実行せよ
-==== FCCの単純単位格子 ====+===== FCCの単純単位格子 =====
 単位格子を立方体の形にとると、1つの単位格子に4つの原子が含まれている。1つの単位格子に1つの原子が含まれるように単位格子をとるには、 単位格子を立方体の形にとると、1つの単位格子に4つの原子が含まれている。1つの単位格子に1つの原子が含まれるように単位格子をとるには、
  
行 35: 行 35:
  
 のように定義される。 のように定義される。
-==== 電子配置 ====+===== 電子配置 =====
 アルミニウムの原子番号は13であるから、当然電子の個数は13である。この13個の電子が アルミニウムの原子番号は13であるから、当然電子の個数は13である。この13個の電子が
  
行 57: 行 57:
 </code> </code>
  
-===== 実習2 =====+====== 実習2 ======
   * エネルギーカットオフの値と全エネルギーの関係をグラフにせよ。   * エネルギーカットオフの値と全エネルギーの関係をグラフにせよ。
-==== エネルギーカットオフ ====+===== エネルギーカットオフ =====
 箱(単位格子)を周期的に並べる事により電荷密度をフーリエ展開し、同時に波動関数もフーリエ展開してハミルトニアンの行列要素を計算するが、フーリエ展開は無限級数であるので計算機で取り扱うためにはこれをどこかで打ち切らなければならない。打ち切る波数をエネルギーに換算したものをカットオフエネルギーと呼び、次のようにJacapoのコンストラクタに電荷密度についてカットオフエネルギーは''dw''と波動関数についてカットオフエネルギーは''pw''というキーワードで設定する。 箱(単位格子)を周期的に並べる事により電荷密度をフーリエ展開し、同時に波動関数もフーリエ展開してハミルトニアンの行列要素を計算するが、フーリエ展開は無限級数であるので計算機で取り扱うためにはこれをどこかで打ち切らなければならない。打ち切る波数をエネルギーに換算したものをカットオフエネルギーと呼び、次のようにJacapoのコンストラクタに電荷密度についてカットオフエネルギーは''dw''と波動関数についてカットオフエネルギーは''pw''というキーワードで設定する。
 <code python> <code python>
行 66: 行 66:
 数字の単位はeVである。 数字の単位はeVである。
  
-===== 実習3 =====+====== 実習3 ======
  
   * BZKPointsを(1,1,1), (2,2,2), (3,3,3)...と変えながら全エネルギーと状態密度の変化を調べよ。   * BZKPointsを(1,1,1), (2,2,2), (3,3,3)...と変えながら全エネルギーと状態密度の変化を調べよ。
 +    - 正常終了したプログラムの出力結果のncファイルが存在するディレクトリで次のコマンドを実行する。<code sh>
 +$ getdos input_nc_file.nc output_text_file.text
 +</code>
 +    - CyberDuck等でoutput_text_file.textをMac側に転送する。
 +    - Abscissa等でoutput_text_file.textのグラフをつくる。
  
-==== K点サンプリング ====+===== K点サンプリング =====
 一酸化炭素のような分子の計算の場合、周期的に並べられた箱(Atoms)と箱の間には電子の行き来は無いと考えられるし、また行き来は無いと考えられる程度に箱を大きくしなければならないが、結晶の場合はそもそも箱は結晶の単位格子でしかないから、電子は隣り合う箱の間を行き来する。すなわち「運動量」を持っており、いろいろな運動量についてエネルギーを計算する必要がある。量子力学では運動量は波数kで表されるのでK-Pointなどとも呼ばれる。正確にはブリリュアンゾーン(BZ)の範囲内の連続的な波数について計算する必要があるが、これを有限個のK点で近似する。K点の個数は 一酸化炭素のような分子の計算の場合、周期的に並べられた箱(Atoms)と箱の間には電子の行き来は無いと考えられるし、また行き来は無いと考えられる程度に箱を大きくしなければならないが、結晶の場合はそもそも箱は結晶の単位格子でしかないから、電子は隣り合う箱の間を行き来する。すなわち「運動量」を持っており、いろいろな運動量についてエネルギーを計算する必要がある。量子力学では運動量は波数kで表されるのでK-Pointなどとも呼ばれる。正確にはブリリュアンゾーン(BZ)の範囲内の連続的な波数について計算する必要があるが、これを有限個のK点で近似する。K点の個数は
 <code python> <code python>
行 84: 行 89:
 $\vec{p}=\hbar\vec{k}=(0,0,0)$、即ちブリリュアンゾーン内のΓ点についての計算を行う。 $\vec{p}=\hbar\vec{k}=(0,0,0)$、即ちブリリュアンゾーン内のΓ点についての計算を行う。
  
-==== 状態密度 ====+===== 状態密度 =====
  
   * 状態密度の定義$$   * 状態密度の定義$$
 \rho(\varepsilon)=\displaystyle\sum_{k}\delta(\varepsilon - \varepsilon_{k})$$ \rho(\varepsilon)=\displaystyle\sum_{k}\delta(\varepsilon - \varepsilon_{k})$$
-  * 状態密度データファイルの作成// 正常終了したプログラムの出力結果のncファイルが存在するディレクトリで次のコマンドを実行する。<code sh>+  * 状態密度データファイルの作成\\ 正常終了したプログラムの出力結果のncファイルが存在するディレクトリで次のコマンドを実行する。<code sh>
 $ getdos input_nc_file.nc output_text_file.text $ getdos input_nc_file.nc output_text_file.text
-</code>+</code>output_text_file.textの中にはエネルギーと状態密度がx-yグラフを描く形式で収められている。これは単なるテキストデータなので適当に加工することも可能。
 <note warning > <note warning >
 出力ファイルに指定したファイル名のファイルが既にあるときは上書きされてしまう!\\ 出力ファイルに指定したファイル名のファイルが既にあるときは上書きされてしまう!\\
 詳細は[[:ab_initio:状態密度|別項]]を参照。 詳細は[[:ab_initio:状態密度|別項]]を参照。
 </note> </note>
-    - 正常終了したプログラムの出力結果のncファイルが存在するディレクトリで次のコマンドを実行する。<code sh> 
-$ getdos input_nc_file.nc output_text_file.text 
-</code> 
-    - CyberDuck等でoutput_text_file.textをMac側に転送する。\\ output_text_file.textの中にはエネルギーと状態密度がx-yグラフを描く形式で収められている。これは単なるテキストデータなので適当に加工することも可能。 
-    - Abscissa等でoutput_text_file.textのグラフをつくる。 
  
  
- +====== 実習4 ======
-===== 実習4 =====+
  
   * ユニットセル(単位格子)の大きさを±10%の範囲で変化させ、単位格子の体積(横軸) vs 全エネルギーの変化(縦軸)のグラフを作成せよ。   * ユニットセル(単位格子)の大きさを±10%の範囲で変化させ、単位格子の体積(横軸) vs 全エネルギーの変化(縦軸)のグラフを作成せよ。
行 109: 行 108:
  
  
 +===== ユニットセルの体積 =====
 +
 +$$
 +\begin{array}{l}
 +\vec{a}_1=(0,\,\displaystyle\frac{a_0}{2},\,\frac{a_0}{2})\\
 +\vec{a}_2=(\displaystyle\frac{a_0}{2},\,0,\,\frac{a_0}{2})\\
 +\vec{a}_3=(\displaystyle\frac{a_0}{2},\,\frac{a_0}{2},\,0))
 +\end{array}
 +$$
  
-====== 計算パラメータ設定 ======+三つのベクトルがつくる平行六面体に原子が1つ含まれ、1辺が$a_0$の立方体に原子が$N$個含まれるので、ユニットセルの体積は$\displaystyle\frac{a_0^3}{N}$で与えられる。
  
  
-====== 演習問題 ====== 
-  - PlaneWaveCutoffの値と全エネルギーの関係をグラフにせよ。 
-  - BZKPointsを(1,1,1), (2,2,2), (3,3,3)...と変えながら全エネルギーと状態密度の変化を調べよ。 
-  - ユニットセル(単位格子)の大きさを±10%の範囲で変化させ、単位格子の体積(横軸) vs 全エネルギーの変化(縦軸)のグラフを作成せよ。 
  
seminar/al結晶.1624254905.txt.gz · 最終更新: 2022/08/23 13:34 (外部編集)

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